シートに入っているピンクの薬

人の体内には大動脈から毛細血管まで、大小さまざまな血管がめぐっている。血管の中は血液が流れている。心臓から送り出される新鮮で栄養たっぷりの血液は動脈を流れ、栄養を各部に送り届けたあとの血液は静脈を通ってまた戻ってくる。動脈血は輝くような赤であり、静脈血はほのかに黒ずんでいる。高血圧症は、この血液の量が必要以上に増えすぎてしまうことが原因で起こるものである。血管内の血液量が増えると、内側から血管を圧迫する力が強くなる、つまり「血圧が高くなる」のである。
ラシックスという利尿剤は、単にオシッコの量を増やすというだけの薬ではない。体中をめぐっている血管の血圧を下げ、高血圧症を解消することができる薬である。
ラシックスには尿を増やすという働きがあるが、尿とはそもそも何かといえば体内の老廃物が水分と一緒に外に出るものである。ラシックスは、この水分を体中から集めてくるのである。たとえば血管内から。高血圧症で血液量が増えている状態の血管から、血液の水分を担っている血しょうという物質のみを取り上げ、尿のための水分として排泄のための器官である腎臓まで運ぶ。そしてそのほかの部分から集めてきた水分と一緒に、尿として出してしまうのである。血管内の血しょうの量は増えるということは要するに血液の量が減ることなので、内側から血管を圧迫していた力も弱まる。つまり、「血圧が低くなる」のである。ラシックスはこうして高血圧症を解消するのである。